好奇心で綴る歴史と人物──ときめきは、時代を超えて。
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ルートヴィヒ2世とパウル(初彼?)の耽美な関係!副官との秘められた手紙の真相

ノイシュヴァンシュタイン城を建てた“夢見る王”ルートヴィヒ2世。
──彼の心を最初に動かした相手が誰だったか、ご存じですか?

その名は、パウル・フォン・トゥルン・ウント・タクシス。
高貴で、美しく、詩と音楽を愛した彼は、ルートヴィヒの幻想を現実にする“騎士”のような存在でした。

ふたりの関係を物語るのは、手紙だけではありません。 ルートヴィヒ2世は、自らの想いを「芸術や演出で表現する王」でもありました。

感情を直接語れない時代──そして立場──だったからこそ、 彼は“舞台”というかたちで、心の内を伝えようとしたのかもしれません。

そんな彼の誕生日には、“白鳥の騎士”を模した幻想的な演出が用意されました。 まるでそれは、彼の“語られぬ想い”を象徴するかのような光景でした。

林檎の園
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王と貴族、青年同士の親密すぎる手紙と芸術的な交歓。
友情というには距離が近すぎて、愛というには儚すぎた──
そんなふたりの関係を、オタク女子目線でひもといていきましょう。

時をさかのぼって、ふたりが出会った“運命のプロローグ”から始めます──❤

 

※この記事は、@Takurou_Aidaさんのポストにインスピレーションを受けて執筆しています。


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ルートヴィヒ2世とパウル・タクシスの関係!親衛副官との運命的な関係の始まり

皇太子ルートヴィヒと青年パウル、運命の出会い

運命の歯車が回りはじめたのは、1863年。

当時まだ皇太子だったルートヴィヒは17歳(誕生日直後で18歳)、

ルートヴィヒ2世不明Unknown author, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

ルートヴィッヒ2世の脳内イメージ

 

そこへ副官候補として現れたのが、2歳年上の青年、パウル・フォン・トゥルン・ウント・タクシス。

パウル・フォン・トゥルン・ウント・タクシス著者不明Unknown author, Public domain, via Wikimedia Commons

パウル・フォン・トゥルン・ウント・タクシスの脳内イメージ

名門貴族の家系に生まれたパウルは、音楽と詩、そして演劇を愛する才人。
彼の美貌と才能、そして“ちょっと年上”という絶妙な距離感に、
夢見がちなルートヴィヒが惹かれたのは、もはや当然だったのかもしれません。

“副官”をこえた、ふたりの親密な時間

ふたりはすぐに意気投合し、ワーグナーのオペラについて熱く語り合い、詩を交換し、劇中のセリフを朗読し合う日々。
これはもう、“芸術を通じた魂の共鳴”──オタク的に言えば、完全に推しカプ(推し同士の理想的組み合わせ)成立です。

パウルの存在は、ルートヴィヒにとって芸術のパートナーであり、現実の政治や社交から心を救ってくれる“精神の避難所”のような存在でもあったのです。

王の即位と“そば近く”への昇進

1864年、父王マクシミリアン2世の死により、ルートヴィヒがわずか18歳で即位。
それにともない、パウルは「親衛副官」とされるような立場──
より王の私的な側近として、そば近くに仕えるようになります。

林檎の園
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※当時の正式な役職名は「Flügeladjutant(直訳すると“側近副官”)」に相当するとされており、軍務だけでなく、王の私的な生活や精神的支えを担う特別な存在だったとされています。

ここから、ふたりの関係はますます濃密に、そしてどこか危ういものへと変化していくのです──。

次は、ルートヴィヒの誕生日に起きた“幻の演出”。
白鳥と騎士の、あまりにも耽美すぎる物語へ──❤

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ルートヴィヒ2世がパウルに託した“白鳥の騎士”──幻想の誕生日と理想の投影

パウル・フォン・トゥルン・アンド・タクシスによるローエングリン役ヨーゼフ・ルートヴィヒ・クレーマー, Public domain, via Wikimedia Commons

1865年8月25日──王ルートヴィヒ2世、20歳の誕生日。 その夜、バイエルンのアルプ湖にすべり出したのは、なんと“白鳥”の舟──。

羽根のように白いその船体には、銀糸の電飾が煌めき、湖上をゆっくりと進んでいきます。 乗っていたのは、きらびやかな銀の鎧に身を包んだ“騎士”──そう、王の最も親しい友、パウル・フォン・トゥルン・ウント・タクシスその人。

しかもBGMは、ワーグナーが指揮する生演奏。 城の岸辺にひっそり隠れた30名の軍楽隊が、あの《ローエングリン》のアリアを奏でる中── 白鳥の舟は、夜霧に包まれた湖を静かに滑っていきました。

林檎の園
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もう、設定だけで情緒が限界突破なんですが!?

これ、ただの演出じゃありません。 まさに《ローエングリン》第1幕、“白鳥の騎士”降臨シーンの実写再現──いえ、それ以上に現実と幻想が溶け合った奇跡の瞬間だったのです。

この祝賀劇は、王自身のアイデアを、ワーグナーとパウルが全力で叶えたと言われています。 そう、ルートヴィヒにとって《ローエングリン》は“ただのオペラ”なんかじゃない。

犠牲と誓い、孤独と純粋さに貫かれた“白銀の騎士”は── 彼が生涯求め続けた精神的理想そのもの。

林檎の園
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そして、その役を演じたのがパウルだったという事実に、私たちの想像はもう止まりません……!

ローエングリンのあらすじと共に深掘り:ルートヴィヒ2世はローエングリンの世界観になぜ惚れたのか?
白鳥が引く舟に乗って現れる謎の騎士──オペラ《ローエングリン》のこの設定、聞いただけで沼落ち確定では?林檎の園実はルートヴィヒ2世は幼い頃から父の離宮ホーエンシュヴァンガウ城の壁画で「白鳥の騎士」の伝説に触れ、胸を高鳴らせていました。けれど...

銀の鎧、白鳥の舟、静かな湖。
それはきっと、「愛している」と言葉にできなかったふたりが、共有した幻想のかたち──
そんなふうに受け取っても、いいですよね?

※演出や装置の詳細は複数の記録を参考に再構成していますが、王とパウルの関係についての解釈は、後世の研究やファンの視点による要素も含まれます。史実とロマン、そのあわいを楽しむ感覚でご覧ください♡

そして次に待っているのは、ふたりの手紙という名の“愛の記録”。
さあ、今度は王の感情が直接こぼれ落ちる、手書きの世界にダイブしましょう──❤

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ルートヴィヒ2世とパウルの手紙──親衛副官への想いがあふれた言葉たち

友情以上、恋未満? 書簡ににじむ熱情

王と副官って、ただのお仕事関係?
──って思ったあなた、油断してはいけません。
このふたり、手紙ひとつで全オタク女子の胸を打ち抜いてきます……。

もちろん当時の手紙ですから、「好き」なんてストレートな言葉は出てきません。
でも、読み進めるほどに滲み出す“気持ち”がもう、しんどいんです……。

たとえば──1866年5月5日、パウルからルートヴィヒに宛てた手紙には、こんな一文が残されています:

「親愛なるルートヴィヒ! 私はあなたに捧げられています。…
あなたの窓に光が見えると、私の心は高鳴ります」

──なにこれ、尊い。
王様に送る手紙でこれって……もう、心のプロポーズでは??

林檎の園
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※この一文は複数の研究資料で紹介されており、翻訳には若干の差異がありますが、
情熱的な感情が込められていたことは確かです。

王が唯一心を許せた“理解者”

芸術を愛し、政治の現実に疲れていた王・ルートヴィヒ。
そんな彼にとって、詩を読み、ワーグナーを熱く語れるパウルは、単なる側近ではなく、“魂でつながる唯一の理解者”でした。

わずか2歳違いという年齢の近さもあって、ふたりは自然に心を通わせていったのです。
でも、それ以上に、芸術を通じて響き合う感性──
それが、ふたりの間に“言葉を超えた親密さ”を生んでいたのでしょう。

言えない想いを“詩”に託して

ただし──当時の社会では、男性同士の感情的なつながりは極めてセンシティブなものとされていました
だからこそ、ふたりは“詩”や“象徴”という言葉を使いながら、伝えたい想いを、そっと書簡に託していたのです。

ルートヴィヒは生涯、たくさんの手紙を残しましたが、その中でも、パウルとの書簡はとびきり熱くて、どこか切ない“特別な温度”があります。

林檎の園
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言えない想いを、文学と芸術でくるんで伝える──
そんな不器用な愛のかたちに、もう読んでるこっちが泣きそうです……。

でもそんな濃密な関係にも、じわじわと“終わりの気配”が……。
次は、ふたりを引き裂いた“現実”の幕が、そっと上がります──❤

19世紀のヨーロッパ社会、とくに保守的なカトリック文化圏(例:バイエルン王国)では、男性同士の親密な関係や同性愛的な感情は、公的には「不道徳」や「逸脱」と見なされることが一般的でした。同性愛を犯罪として扱う法律(例:ドイツ帝国刑法第175条)は20世紀初頭に制定されましたが、それ以前からも道徳的・宗教的理由により、男性同士の恋愛感情や身体的接触は、強い偏見や社会的排除の対象でした。このため、たとえ王族や貴族であっても、公然と恋愛感情を語ることは不可能に近く、その想いは詩や芸術、書簡などに“仮託”する形で密やかに表現されていたのです。
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ルートヴィヒとパウルの別れ──“現実”がふたりの幻想を壊したとき

現実が割り込んだ、恋とスキャンダル

1866年──芸術と夢の世界を共有していたパウル・フォン・トゥルン・ウント・タクシスに、ある“現実”が訪れます。
彼が恋に落ちた相手は、ユダヤ系のソプラノ歌手、エリーゼ・クロイツ(Elise Kreuzer)。

エリーゼ・クロイツの脳内イメージ

当時の貴族社会では、俳優や芸術家との恋愛──とくに結婚──は“貴賤結婚”としてタブー視されていました。

しかもパウルは、国王ルートヴィヒ2世の親衛副官。つまり、誰よりも王に近く、注目される存在でした。
そんな彼が“平民の歌姫”と恋に落ちる……それはまさに、王の世界観を打ち砕く出来事だったのです。

王の失望、そして追放

この恋の発覚は、ルートヴィヒにとって耐えがたい衝撃でした。
彼の心にいた「白鳥の騎士」が、現実の男に引き戻されてしまった──

王の深い失望と怒りを受けて、1867年初頭、パウルは宮廷から離れることを余儀なくされます。
王の側近という地位を解かれ、軍務からも退くこととなった彼。
かつて夢をともにした“隣の席”は、静かに空席になっていきました。

交わらぬ視線、減っていく書簡

パウルが宮廷を去ったあと、ルートヴィヒとの手紙のやりとりも激減します。
最後にはほとんど、交流が途絶えるかたちに。

ふたりの間に、「決定的な別れ」の言葉は交わされていません。
──けれど、パウルの追放こそが、静かなる絶縁だったのです。
直接的な詰問や非難は残っていなくても、王は“夢を壊した者”を、そっと遠ざけたのだと考えられています。

そして、ひとりだけの幻想へ

それでも──ルートヴィヒの心から“銀の騎士”の残像は消えませんでした。
多くの研究者が指摘するように、この失望が彼の人間不信を深め、ますます幻想の世界に没入していく契機となったのです。

夢を信じた王が、裏切りに傷つき、孤独に耽美を求めるようになる──
それはまるで、推しを失ったヲタク女子の末路そのものじゃないですか……。

でも、彼はあきらめなかったのです。
次は、すべてを失ってなおたったひとりで創りあげた夢の城──
「ノイシュヴァンシュタイン城」に託された“幻の愛”を、いっしょに追いかけましょう❤

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ノイシュヴァンシュタイン城に託された“幻の愛”

白鳥の騎士は、石と塔に姿を変えて

ふたりの関係が終わりを迎えてから── ルートヴィヒ2世は、ますます夢の世界へと没入していきます。 その象徴こそが、あの「ノイシュヴァンシュタイン城」。

アルプスのふもと、霧と雪のなかに現れる“白い幻の城”。 まるで中世騎士物語から抜け出したような尖塔と石の回廊。 その設計には、王の偏愛するワーグナーのオペラ──とりわけ『ローエングリン』『タンホイザー』『トリスタンとイゾルデ』の世界観が色濃く反映されています。

なかでも、王が心をこめて設けた“謁見の間”は圧巻。 そこには、天井いっぱいに黄金の星が輝き、壁には聖杯をめぐる騎士たちのフレスコ画が描かれています。

イメージ画像(AI生成)

でも── これは単なる「王の趣味」なんかじゃない。この城そのものが、“喪われた愛”のための記念碑なのです。

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夢の城は“現実逃避”だけでなく、王権を視覚化するシアターでもあったんです。

「推しを失った王」がつくった幻想の王国

かつて、白鳥に乗って現れた“理想の騎士”。 あのとき心を重ねた青年・パウルは、もう隣にはいません。 でも、王の夢の中では、彼はずっと「騎士」の姿のままだった。

だからこそ、ノイシュヴァンシュタイン城の中には、いたるところに“騎士”の面影が漂っているのです。 白鳥、盾、剣、星の冠── それらはすべて、“あの人”に捧げられたものだったのかもしれません。

まるで、喪った推しを永遠に保存するための“推しの聖地”── 推しが降りてくるための“祭壇”みたいに。

それでも、彼は愛しつづけた

ふたりの関係が終わったあとも、ルートヴィヒは決してパウルの存在をなかったことにはしませんでした。 自分から去っていった相手を、それでも「美しかった記憶」として抱きしめるように── 彼は、ノイシュヴァンシュタインという永遠の夢の中に、“幻の愛”を封じ込めたのです。

それは、痛みを伴う記憶の昇華であり、
愛を芸術に変える“最後の祈り”だったのかもしれません。

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最後のメッセージ──“幻の愛”は、騎士のかたちで生き続ける

パウルとの別れから──
ルートヴィヒ2世の心は、もう戻らない幻の騎士を追い続けていました。

ノイシュヴァンシュタイン城。
そこは、彼が現実に背を向け、ただ“美と夢”にすべてを託した場所。

騎士、白鳥、神話、そして芸術。
──王が最後までこだわり続けた“美の演出”には、ある共通点がありました。

それはすべて、かつて彼の傍にいた、ある「副官」の残像に重なっているようにも思えるのです。

事実としては──
ルートヴィヒは亡くなるまで、ノイシュヴァンシュタイン城の内部装飾に『ローエングリン』や『パルジファル』などの騎士譚を描かせ、
「理想の騎士」像を守り抜こうとしました。

それは現実の愛ではないかもしれない。
でも、王にとってそれは、世界でいちばん純粋な“愛のかたち”だったのかもしれません。

💬オタク女子的ひとこと💬

まって、それって…推しの幻影を抱きしめたまま、生き続けたってことじゃん……尊……!
たとえ再会できなくても、ルートヴィヒの心の中では、いつまでも「銀の鎧の騎士」がそばにいたんだね……。
はぁ……これはもう、“永遠に終わらない夢”の物語……。

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